私は元々Google Domainsを利用していたのですが、Google DomainsがSquarespaceに事業売却されるに伴い、ドメインレジストラの見直しを行いました。
なお、SquarespaceはGoogle Cloud DNS インフラストラクチャの利用を継続することを公約していますが、とはいえこれからどうなっていくかは未知数で現在調査しても意味は薄いと見て今回の検討からは外しています。
ドメインレジストラの概要
ドメインレジストラとは
ドメインレジストラとは、インターネットドメイン名を管理および登録する事業者のことです。
ドメイン名は、インターネット上のウェブサイトやメールサーバーのアドレスとして使用されます(例:www.example.com
)。
レジストラは、これらのドメイン名を一般の人々に提供する役割を果たしています。
インターネット上でウェブサイトを開設したり、専用のメールアドレスを持つためには、ドメイン名が必要です。ドメインレジストラは、これらのドメイン名を顧客に販売する役割を果たします。
ドメインレジストラの機能
- ドメイン名の登録: お客様が希望するドメイン名が利用可能か確認し、登録します。
- ドメイン名の更新: 登録されたドメイン名の有効期限の延長。
- ドメイン名の転送: 他のレジストラへのドメイン名の移管。
- 追加サービスの提供: ウェブホスティング、SSL証明書、メールホスティングなど。
選び方
まず、利用したいトップレベルドメイン(.comや.jpなどの部分)が決まっているならまずそのトップレベルドメインを扱えるところにしましょう。特に日本企業限定の.co.jp
を利用したい場合などは扱えるレジストラが限られます。
当然ですがドメインが既に取られている場合はどこのレジストラであろうと取れません。その場合はドメイン自体を再検討することになりますのでレジストラを選ぶ段階ではあくまでトップレベルドメインだけを考えれば大丈夫です。
ちなみに特にトップレベルドメインにこだわりがなければ、網羅率などは気にしなくて大丈夫です。マイナーなドメインは基本的に高価です。無駄に高価なドメインがいっぱいあっても使わないのでこだわりがなければ気にせず次にいきましょう。
次に確認するのは機能です。機能について詳しくは後述しますのでここではざっくり説明します。
Whois代行などと呼ばれる、Whois情報の代理公開機能があればドメインに紐づいてあなたの名前や住所が出ないので通常は気にしておく方が良いでしょう。
有名所のレジストラなら基本的に機能自体はありますが、お名前.comを使う場合はドメイン取得時に自分でチェックを入れないと追加料金を払うか移管するかになりがちなので注意しましょう。
DNSSECはセキュリティ機能なので攻撃を受けない限りは関係ないですが、いざというときにあなたのサイトと利用者を守ってくれます。
ここまで絞り込んだら最後に料金です。
レジストラもお金を払ってドメインを管理しており、大本の利用コストはトップレベルドメインごとに決まっていますが、多くのレジストラが更新料を上乗せするかわりに初年度の利用料を下げるなど調整を行っています。
サイトを大量に作る予定などであれば初年度が安いレジストラを利用し、長くサイトを運営していく予定であれば更新料が低いレジストラを選ぶとよいでしょう。
レジストラ
それぞれの特徴について記載しています。比較は後述。
Cloudflare
CDN事業などで知られるCloudflareです。
詳しくは話がそれるのでここでは書きませんが、無料のCDNもありサーバー負荷を下げる場合などにお世話になります。
他とのシナジーでメリット十分との見立てなのか、登録料と更新料は卸売価格で提供と明言されています。
基本的には最安になるはずですが、多くの業者が初年度は割引して更新料上乗せなどしているので、Cloudflareは長く使うなら最安になるイメージでしょうか。
CDNなど他サービスを使う予定があればまとめられて管理が楽になります。
ただし海外企業であり、日本独自の.jp
といったドメインは扱っていないので注意が必要です。
Xserver Domain
安くて有名...だったのですが後述のお名前.comの値下げによりドメイン単体でのアドバンテージが少なくなってしまいました。
とはいえそもそもエックスサーバー は安いレンタルサーバーとして有名で、ドメインの価格はほぼ最安値のものと変わらないのでレンタルサーバーとセットで検討するなら十分に採用の価値があります。
レンタルサーバーについてはこの記事の内容から外れるのでここでは書きませんが、サーバーも合わせて迷っている方は一度検討してみることをおすすめします。
お名前.com
日本国内で一番有名なレジストラではないでしょうか。
初年度の価格を抑えている分更新は高め...だったのですが2022年6月の価格改定から更新も含め大半のドメインが国内最安になっています。
正直この影響が大きすぎて、他の国内レジストラと比べてほぼ欠点のないレジストラになりました。
取得したいドメインの検索などは使いやすく、元々初心者の利用が多いレジストラです。
ドメインを取得したらそのままお名前.comでレンタルサーバーも登録してWordpress開設、とかもできます。
一方で、whois代行は最初からオンにしたら無料ですが後から有効化する場合は1,078円/年が追加でかかります。知らずにオフで始めると後で後悔するパターンになります。
しっかりと設定してお得に使いましょう。
MuuMuu Domain
価格が安かったため私が以前勤めていた会社で採用したこともあるのですが、アドバンテージが取られてしまったので、お名前.comでwhois代行の設定忘れたときの移行先というような位置付けになりつつあります。
管理画面はスッキリ分かりやすく使いやすいです。「料金そこまで変わらないし使いやすい方がよい」ならこちらです。
比較
※料金については記事執筆時点のものなので、かならず各サービスの記載を確認してください。
Cloudflare | Xserverドメイン | お名前.com | ムームードメイン | |
DNSSEC | ◯ | × | ◯ | × |
whois代行 | ◯ (WHOIS redaction :無料) | ◯(無料) | ◯ (1ドメインにつき 1,078円/年 ただしドメイン登録時に設定すれば無料) | ◯(無料) |
その他機能 | レンタルサーバー | ドメインロック | ||
以下、各ドメインの年間コスト | ||||
.com | $9.77 | 1,298円 (1個目の取得は1円) | 1,287円~ (条件により初年度0円) | 1,728 円 (初年度750円) |
.co.jp | - (登録不可) | 4,136円 | 4,125円~ (初年度4,060円~) | 4,378 円 |
.jp | - (登録不可) | 3,102円 (1個目の取得は350円) | 3,091円~ (条件により初年度330円~) | 3,344 円 (初年度2,035 円) |
.net | $10.10 | 1,518円 (1個目の取得は1円) | 1,507円~ (条件により初年度0円) | 1,628 円 |
.org | $10.11 | 1,518円 (1個目の取得は946円) | 1,507円~ (条件により初年度860円~) | 1,848 円 (初年度1,170 円) |
.xyz | $10.18 | 1,628円 (1個目の取得は1円) | 1,628円 (条件により初年度0円) | 1,628 円 (初年度110 円) |
機能
Whois代理公開(Whois代行)
代理公開が可能なドメインに限られますが、ドメインの所有者情報として公開される情報を代理で登録することで個人情報を隠してくれます。
.comや.net,.orgなど主なドメインは大体代理公開が可能です。代理公開されているとドメイン事業者の名前が表示されます。
最近はGDPRの関係でそもそも隠せるようになったのでWHOIS redactionという単純に隠す機能が増えてきています。
DNSSEC
DNSSEC(DNS Security Extensions)は、DNS(Domain Name System)のセキュリティを強化するための拡張技術のセットです。
DNSはインターネット上のドメイン名(例:example.com)をIPアドレスに変換する役割を持つシステムですが、設計段階でセキュリティを十分に考慮していなかったため、攻撃者が通信を傍受または改ざんするリスクがありました。DNSSECは、これらのセキュリティの欠陥を解消することを目的としています。
10年以上前からある技術なので総務省の昔ながらの解説などもでてきますが、今でも対応していないDNSレジストラはいくつかあります。
問題は、DNSSEC機能があるところからないところへ移管する場合、事前に設定解除などをしないとアクセスできないなどの問題が発生する可能性があるので注意してください。
まとめ
簡単なまとめです。
日本語がいいなど、日本のレジストラがよい初心者の方はお名前.com がおすすめです。
価格改定により国内レジストラの中では基本的に最安となっており、特に初年度の安さは他とは一線を画します。それでいて基本的な機能が揃っています。
以前は比較の余地がありましたが、レンタルサーバーとのセットなどでなければ「とりあえずここでよい」くらいの国内では1強状態になったと思います。
ドメイン登録時のWhois代理公開の✔だけは忘れないようにしましょう。
慣れている人でドメインを長く運用する予定の人はCloudflareがおすすめです。
海外企業ですがそれなりに日本語に対応しています。CDN事業の大手として有名で、ドメインに関しては卸売価格で提供することを明言しているので、初年度割引などの特別なことをしているものを除けば理論上最安のレジストラです。
また、アクセスが増えてきてCDNを利用する際にはお世話になる可能性が高いので、その際一括管理できるのもポイントが高いです。
ちなみに私は元々CDNでCloudflareを使っているので今回Google Domainsからの移行先としてCloudflareを選択しました。
皆様もよい選択ができることを願っています。